先日、知人の紹介メールで、京都府医師会ではペーパーレス化の取り組みの一貫として今年の7月から定例理事会の会議運営にiPpadが導入され試験的に議事運営が開始されたとのこと。これにより印刷経費の削減、ファイリング業務の効率化が期待できるらしい。まさしく医療におけるIT化である。わが医師会でも近いうちにこのようなiPadによる会議が行われるかもしれないが、私のようなアナログ狸にとっては少々心配である。
先月、狸の属する医師会のメーリングリストに「モバイル端末が医療の現場を変えようとしている。富士フイルムが、東京慈恵会医科大学と共同研究した新しいシステム「i−Stroke」を発売。当直医と病院の外にいる専門医が脳卒中患者の情報を共有し、治療のスピードを高める」という狸にとってとても衝劇的なニュースを流したが、だれからも何の反応もなかった。内容に興味がないのか、当たり前の事で反応がなかったのか?
モバイル端末とはiPadである。最近の研修医はiPadを上手に使い、臨床研修中に分からないことや疑問点にぶつかると、あとで、配布された紙の資料を調べたり、慌しい時間の合間をぬって指導医に聞いたりすることが多かったが、iPadで、疑問点をその場で解決でき、検索機能によって時間も短縮され、最新情報も入手しやすくなったそうだ。また、研修中にiPadを使い、疾患検索や文献検索行い、その場ですぐに情報を収集し、研修報告もすぐに入力できるということでかなり有効利用をしている様だ。
狸も今iPadなるものに興味があり、購入するかを迷っているのであるが、使用目的を分からずして買ってはいけない。ということで、iPadで可能なことを調べてみると、
・教科書の自炊(切ってスキャンして取り込み)により教科書のチラ見ができる
・PDFが書籍として保存閲覧できるので、論文収容
・Googleカレンダーと同期させることが出来るのでスケジュール帳に
・ネットブラウザ(いつでもMixi Ameba)
・動画プレーヤー
・メモ、ノート
・旅行の時に初めていく場所、出張時のナビ
・メールの確認
等と書かれている。論文の閲覧は自宅や病院のPCで行えばいいし、スケジュール管理は慣れ親しんだ手書きの手帳で今のところ問題はない。外で動画を見ることなどないし、医学雑誌はPCより実際の本の方が読みやすいとなれば、今の狸にはこれを買う意味はなさそうである。ただ、持っていればかっこいいという誘惑とは戦わなければいけない。
話は変わるが、今年の1月に3年も使った携帯電話の調子が悪くなり新機種としてスマートフォン(以下SP)なるGALAXY-Sに買い替えた。未だ電話機能を多用し、時々Google検索や、Yahooニュースを見るくらいであるが、便利だと思うのは桑田圭介がCMでやっている例の指を使ったズーム機能で、老眼狸にはとても助かる。先日、このSPの電源がすぐに切れるというトラブルが発生し、NTTdocomoに行ってみた。店員さんから「お客さんは殆どアプリのダウンロードをしていませんね」と言われたが、狸にはアプリ等に興味もなく、その価値もよくわからんのにそんなダウンロードなどする訳がない。ついでに、SPのマップという機能を使えば現在位置が分かるとのことで、一度やってみたところ、今秋田にいるはずが、地図では現在自分はカナダのトロントにいるとの表示がでた。これも調べてもらったところ、「お客さんの機能は古いバージョンで、新しいバージョンをダウンロードしましたから、もう大丈夫ですよ」とのこと。「ふざけんなー!そんなの自動でアップロードするようにしておけよ」と心の中で呟いた。また、狸はこのSPでメールを打つのが苦手である。文字を打つのに非常に時間がかかる。打ちたい文字が何度も行き過ぎてしまい、最後には面倒くさくなり、メールを送るのをやめてしまう。狸にとってメールを打つより電話をした方が早いのであるが、子どもに電話をすればメールでよいと叱られる。最近の若い子たちが片手で異常な早さで携帯メールを打っている姿を見るが、これには本当に尊敬してしまう。結論として、アナログ狸には普通の電話機能だけある携帯電話で十分であり、次に買い替える時は「携帯電話楽々フォン」これで決まりである。
ある専門家が、診療科や地域、学閥、企業などから行政、司法、官民に至るまでさまざまな障壁が存在し、それらを取り払う道具がiPhoneやiPadなどの携帯通信端末だと言った。さらに「誰でも使えるという汎用機である点が、その垣根を下げる上で重要だ」と強調し、医療現場におけるSP活用メリットとして「鮮度のある情報をリアルタイムで入手・入力・共有できること、及び医療従事者自身でもアプリケーションを作成できる点」を挙げているが、今までの話からすれば狸にはこれらの機器は宝の持ちぐされということになる。さて、狸のiPad購入は今後どうなるであろうか。
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